ペトラ 

岩窟寺院、古代美術、そして異世界の風景

バラ色の岩肌に彫られた魅惑的な古代都市、ペトラ。石に光が戯れることで、琥珀色と深紅色の絶え間なく変化するキャンバスが生まれます。その玄関口はシークと呼ばれる渓谷で、そびえ立つ両側の壁は80メートルを超え、その滑らかな表面には自然の力と人間の芸術性の両方の痕跡が残っています。このドラマチックな渓谷は1km以上に及び、それを抜けるとペトラの最も象徴的な光景である宝物庫、エル・カズネが岩肌から蜃気楼のように姿を表します。

 

近くの列柱通りには、40以上のナバテア人の墓や家があり、風化した細部はこの場所を首都にした古代の生い立ちを物語っています。そのすぐ向こうには、ローマ風の円形劇場の廃墟があり、山腹に直接刻まれた半円形の列が特徴的です。さまざまな文化を通じて街の進化を感じることができます。遺跡の最奥、800段の階段を登りきった先にあるのがエドディルと呼ばれる修道院跡。高さ45メートルの巨大なファサードが訪れる人を圧倒します。この見晴らしの良い場所からは、宗教的および政治的な重要性が染みこんだ古代の地、ワディアラバ砂漠を一望できます。

早起きをしたら、早朝探索へ繰りだしましょう。朝の光が魔法のような微妙な影を作り、隠された碑文や建築の細部を照らし出します。岩壁をよく見ると、何百万年にもわたる鉱物の堆積物によって作られた赤、白、紫の渦巻き模様=色の帯に気づくでしょう。このエリアでは「ペトラ・バイ・ナイト」と呼ばれる夜のイベントも開催され、何千ものキャンドルが周囲を優しく照らし出し、古代の祭りを彷彿させます。広大な遺跡には複雑な床モザイクのあるビザンチン様式の教会もあり、敷地内の博物館には、先史時代からナバテア時代、そしてそれ以降までのペトラの歴史をたどる遺物が展示されています。 

かつては商人や巡礼者をもてなした場所だったと言われ、観光客があまり訪れないリトル・ペトラ(シーク・アル・バリド)もお見逃しなく。ここでは極めて保存状態が良い、色鮮やかなネバテア時代のフレスコ画を見ることができます。遺跡の見学に疲れたら、岩肌をくり抜いて作られたベドウィンのカフェに立ち寄り、伝統的な甘いお茶でリフレッシュ。ユネスコ世界遺産の時代を超えた非日常的な雰囲気を堪能できます。

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